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● 蝶の毒華の鎖 aromarie

【一言感想】

70 世界観に適合したBGM、藤田萌えを加味してこの評価。なければ60くらいかな。深刻なボリューム不足

【購入動機】

ネットでゲームの感想漁りをしている最中偶然目に留まり、少々気が惹かれ何とはなしにチェック。
丁度体験版が配布されているところとの事で ! プレイさしていただきました。仄暗ムードな時代物。
面白かった&音楽良かった&先が気になったので早速予約購入。うわさの? 18禁乙女ゲーム初購入。
ライターさんの作品については以前BLゲーム「揺蕩う刻」をプレイ済で、テキストに関しては好感触気味

【購入時期&プレイ時期】

予約購入&リアルタイムプレイ。フルコンプ済。雑記頁作成中。

【製品情報】

■2011/05/27発売 18禁 分岐型NOV 主人公以外フルボイス シナリオ:丸木文華 原画:天野ちぎり

■音楽:Angel Note BGM:伊福部武史 主題歌:佐々倉マコト、不知火つばさ

■イベントCG枚数: 120枚 差分枚数76 容量:900MB未満

■エキストラ: CG鑑賞(差分込表示) 回想モード(68枠) ED鑑賞(21個) 音楽鑑賞(32曲) おまけシナリオ


【機能・操作性等】

セーブ枠100。バックログ(音声再生機能有)・オートプレイ・既読スキップ 完備。
個別ボイス音量調節可。選択肢飛躍機能もあるけどモッサリしてるし、話短いし、まあ、使いません。
特にストレスを感じる部分はありませんが…
フォントを明朝に設定していてもバックログじゃデフォルト設定(ゴシック)のままになっていたり
回想モードの一部に収録ミス? があったり、などの不具合有り。パッチで修正されているかは未確認

【ゲームシステム】

分岐選択肢オンリーですが、作品全体のボリュームのなさに比例して選択肢数も超エコノミー仕様 !
価格もエコ仕様ならばさほど問題はなかったのですが…
体験版終了部分で早くもほぼ折り返し地点に到達してしまっています。残念。当然ながら難易度も0。

【演出等】

これといって目を引く部分はないかな。主観ですが立ち絵の演出などはやや拙いものがあります

【グラフィック】

可も不可もあり。画面デザインはそれなりの雰囲気で程好く無難にまとまっております。
絵柄は第一印象こそ地味に思えたものの、キャラの描き分けもgood&画力にも安定感はあり好印象。
なのですが、線画&処理や塗りがやや大味で、CGの出来にもバラつきあり。
たまに安心クオリティの美麗画もあるのだけど…大方、原画の良さを相殺してしまっている印象。勿体無い

【背景画】

微妙です。目も当てられんほど粗悪でもないけど、深みが無く簡素でサラッとしています。
大正時代が作品の舞台と言うことで、ここらへんはもちっと頑張っていただきたかったところ

【あらまし】

時は大正。借財を抱え困窮に喘ぐ貧乏華族、野宮家の子爵令嬢である主人公百合子。
父が自分のためにと催してくれた、分不相応に豪奢な誕生日パーティーの裏で、
その真意を図りかねていた百合子は、一人居心地の悪さを胸に抱えていた。いっそ逃げ出してしまおうか。
邪な思いに駆られ悪戦苦闘してはみるものの、近しき者たちとの接触の中宴の目的が婿探しである事を知る。
そんな折、突如として屋敷の中から響き渡る悲鳴。華やかな宴は瞬間、見るも無残な惨状と化す。

【主人公像】

気が強く思い込みが激しい。感情の沸点は低め。ルートによってS化したりM化したり。
性格的にはS寄り、性的にはMと言った感じでしょうか。どのルートでも大体もれなく淫乱体質。
&かつ攻略対象は皆絶倫。行動力はあるが時に軽率。ただし本編では事件の影響でか?
基本的には閉じこもりがちのため、おてんばといった設定はそこまで生かされておらん気も

【登場人物】

攻略人数は5人と、まあ標準の範囲内ですね。自己完結野郎(色んな意味で)率高し !
俺様成金男、風…花街通いの兄、ツンデレ風幼馴染、堅物執事、初恋枠の庭師、といった顔ぶれです。
主人公ほぼ総モテ、個人的には微妙要素です。ただし自発的に攻めてくるのは約1名のみですが。
以下は使用前/使用後の印象など。攻略は藤田・斯波・秀雄・(鏡子)・瑞人・真島の順とあいなりました。

□百合子:主人公。まあ適度にしっかり者風で悪くない感じ。
:ちょっち脳たりんで思い込み激しいけど、藤田ルート(good限定)での程好い小Sには萌える
□斯波:萌えはさて置きこの率直さには好感持てる。ちょいウザだけど !
:予想通りの人物でさほど印象変化無し。色々楽しませてはくれるしキャラとしては好き
□瑞人:興味なし。強いて言うなら地味にうざー。笑
:美麗絵多し。筋金入りのマイペースで秀雄を始め他キャラと絡むと輝く中々のオモロキャラ
□真島:初恋枠としてなら無難に萌ゆれそうだけど腹黒臭も全開で嫌な悪寒。
:初恋枠消滅はもとより、予想上の微妙キャラだった…設定の詰め込みすぎで潰れている感
□藤田:悪くないねー。命令モードが癖になりそうで地味に期待。
:グッドルートは期待以上にツボ入りで最萌えに。不自然なバッドは見なかったことに。
□秀雄:好感持てる人柄、おまけにいいツンデレ。幼馴染枠としても期待大
:初者同士ならではの描写が不足の感で不完全燃焼気味、だけど心地は良いツンデレ風味
□鏡子:嫌いじゃないよこういうキャラ、品と下品の共存みたいな。百合展開に期待
:意外性はないけど絶妙なポジションでの活躍ぶりでした。女郎蜘蛛endお気に入り。エロくれー
□三郎:こ奴が美形だったら存在価値激減だろな。陵辱展開に期待。まさかの善人も大アリ
:思ったほどには暴れてくれなかった。レイプ完遂ぐらいか、でもアヒョってたしな。絵も無いし

【シナリオ】

短いです。テキストは程良く情緒があっていい感じなのですが、物語展開が唐突で(特にバッドエンド)
描写不足の感は否めません。いわゆる修羅場(シチュエーション)先行型シナリオの典型っぽい。
ダイジェスト風なつくりです。特に一部のエンディング ! 藤田萌えの私にはあんぐりモノでした。
badなのは結末部分のみで、その直前まではgoodルートの使い回しとかアリですか? 落差も激しいのに
どう贔屓目にみても不自然な経緯でしかないので、ここは明らかなる手抜きでしょう。
主人公をどS化させるための腹黒選択肢の混ぜ込み方もいまいち、状況変化もテキスト差分も皆無だし。
半面、当のgoodルートは短いながらも要点はしっかりと描かれていましたので、
微S主人公&M寄り従者のやりとりにツボった身としては、がっつり萌えさせていただきましたが ! !
それだけにbadendの唐突感、圧倒的なフォロー不足が勿体無い限り。全体的に描き込みが浅いです。
その他、badルートは無論のこと、各キャラのgoodルートにもあと2、3エピソードは挟んで欲しかった感あり。
ちなみにキーパーソンである真島の他にも、斯波ルートは比較的丁寧に描かれている気がします。

【18禁要素】

Hシーン。作品内における分量としてはそこそこ充実してます。特に濃いわけでも薄いわけでもなく。
特殊プレイとしては剃毛やら母乳プレイなんかがありましたが、正直「なんでそれ?」
みたいな取って付け感がありまして、まぁ人様の性癖? につっこみを入れるのも野暮ってもんかも知れんけど。
そのような意味合い(ネタ臭い)から、オプションの発生する変態プレイがあまり好きではないんですが
前後の描写次第では萌えにも繋がると思うので、やはりシナリオの筆量? 技量?
不足がここにも響いているなーといった印象。
しかしながら、秘密倶楽部の見世物エンドには地味に興奮いたしました。
こちらも途中経過がぶっ飛んでいることに変わりはないのですが…いかにもエロゲーライクな、
割かし自分好みのシチュエーションだからでしょうか。お姫さんの落ちぶれ感が照り映えます。
ただこれを藤田のbadendのひとつとしてカウントされるのは勘弁願いたかったのですが。
やはり前後の流れをしっかりと描いてもらえれば、傑作にもなりえただろうに、何とも惜しいところ。
ついでに主人公のせっかくの処女設定、あまり生かされておらんように思えました。
無駄に痛がるなどの不都合な表現は必要ありませんが(そこはフィクションの特権ですから !)
ときめきが足らない。いざ事に及ぶと思いのほか淡々と済ませてしまいますので…。
まぁ単に華族令嬢という設定の都合上の処女でしかないのかも知れませんが。
せめて初物同士である秀雄との絡みはもうちと念入りにフレッシュなやり取りを描き込んでもらいたかった。

【音楽】

作品の世界観構築に大いに貢献しています。良い意味で軽く古びていて耳馴染みがよく、私好みです。
ここが微妙だったら購入に踏み切れていなかった可能性も…ないこともないかも。
ただ音質はあまり良いとはいえない気がするかな。サントラ買わせる作戦上だったらブーイング

【総感】

つらつらと不満点なども述べてまいりましたが、この作品、楽しめてはいるわけで !
ただ価格と満足度が釣り合わんな(必要描写も足りてないし)……という一点に尽きるしだいで。
この内容なら、現定価の半分位が妥当だなー、もしくは価格そのままボリューム2倍にするか。
物語に厚みを出す方向性が無理なら、せめて結末数を2倍にするとか。
あるいは個別のボリュームは維持しつつキャラ数を2倍にするとかで。
補ってもらえていればさほどの不満はなかったのですが。今更言ってもどうにもなりませんけど。

総じて内容的(全体的)には、上記理由もあり若干期待外れ気味だったけども
藤田(goodルート)的には当たりだった、という感じかな。あ、鏡子的にもそこそこ当たりでした。
トリオで兄&百合子&秀雄も好きだけど、描写不足で物足りない印象は拭いきれません。
先が気になるエンディングも「女郎蜘蛛」に「秘密倶楽部」に「3P」の3つですが、
仮に後々追加シナリオなどを出されたりしても微妙です。本編が薄いだけに今更感が出るだろうし。
けど女性向けは何故かファンディスクの名を騙った後付商法なんかが目立つからなぁ。
題材とキャラ、原画と音楽は良いんです ! 色々と惜しいところの多い作品です。
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